ふたりはアイドル!ダブルP☆(グルメリポーター編)
――ここ最近、プミが険しい表情を見せるのが気になり、プミは意を決して聞いてみる事にした。
ピキ「ピッピッピ?」(先輩、ここ最近アイドルらしからぬ表情をしてますが、何かあったんですか?)
プミ「やや、ピキちゃん、顔に出てしまってましゅたか…。」
ピキ「ピピピー。」(先輩が思い詰めてたり、険しい顔をしているもので…。)
プミ「実は…、明日のロケでしゅが…。」
ピキ「ピ?ピキー?」(明日のロケ、にんじんカフェでしたよね?先輩、いつもグルメロケ楽しみにしてたじゃないですか?)
プミ「…実は、プミは……にんじんが大嫌いなんでしゅよ…。」
ピキ「ピッキー?!」(エーっ?!)
ピキ「ピー?」(…という事で、シンコさんどうしたら良いでしょう?)
ピキは明日のロケのため、悩めるプミの手を引きながらシンコの元へと走った。
シンコ「プミちゃん、にんじんはとっても美味しいのよ?ジュルリ」
プミ「おりんごは大しゅきでしゅが、にんじんはどうしても…むしろ、好き嫌いの無いピキちゃんがしゅごいでしゅ…。」
ピキ「ピピーピピ…ー。」(我が家はお残しすると母から『爆裂ビンタ』が飛んでくるので…)
ピキが青ざめて震えだしたのを見て、プミはピキのトラウマを引き出してしまった事に罪悪感でいっぱいになり、思わず唾を飲み込んだ。
プミ「ありがとでしゅ…!」
かくしてシンコの手によるにんじん料理が卓上に並べられていき、プミが一皿一皿口へと運ぶ。
プミ「ま、まず…!」
ピキ「ピキー!」(先輩、せっかくシンコさんが作ってくれたのに失礼です!そしてその不味そうな顔、放送できません!)
プミ「ご、ごめんでしゅ…!」
シンコ「まあまあ、ピキちゃん。じゃあこれはどう?」
シンコが別のにんじん料理をプミの前へと運んだ。
プミ「ま…じゃなくて口に合わないでしゅ…」
ピキ「ピキピー!」(せっかくシンコさんが作ってくれたのにその嫌そうな顔はなんですか!もっと美味しそうに食べてください!)
プミ「ご、ごめんしゅ…!」
シンコ「まあまあ、ピキちゃん。こんなにんじん料理はどうかしら?」
プミ「…おい…しい…でしゅよ?」
ピキ「ピッピキピー!」(全然、美味しそうな顔してません!食べ物にも失礼です!)
プミ「ごめんしゅー!!プミー!!」
ピキのスパルタ式にんじん克服レッスンは明け方まで続いた。
司会「ハイ、今日は話題の人気沸騰アイドルのダブルP☆のお二人と一緒に『にんじんカフェ』に来ました!」
プミ「プミでーしゅ!」
ピキ「ピキー!」(ピキーでーす!)
プミピキ「二人合わせて、ダブルP☆でーしゅ!」
司会「今日はまさに人参づくし!さあ、お二人に早速食べて貰いましょう!」
ピキは人参ハンバーグを口へと運んだ。
ピキ「ピーピー!」(おいしいでーす!)
店の裏からシンコが見守る中、プミはにんじんハンバーグを口へと運ぶ。
ピキも固唾を飲みながらプミを見上げた。
何故なら、昨晩特訓したにも関わらずどうしてもプミは美味しそうな表情が出来なかったからだ。
プミは昨晩の事を思い出す。
ピキに何度も怒られた事を。
大嫌いなにんじんを食べ続けた事を。
もう、あんな特訓はこりごりだと心の中で叫んだ時、プミの中で何かが弾ける感覚が襲う。
プミ「…おーいちー!」
プミの鼻の穴が広がり目が閉じられた。
ピキ「ピキピー」(先輩、にんじん嫌い、克服したんですね。ピキ嬉しいです。」
ピキはこっそり小声で呟いた。
ロケが終わり店の裏でピキが目を輝かせる。
プミ「…本当の事を言うと、今でもあまり好きじゃないでしゅ…。」
ピキ「ピキピキピー?」(あんなに美味しそうだったじゃないですか?)