ウエーノ王国物語～姫の誕生日　6プミめ〜１１プミめ-2021/06/20(日)

ウエーノ王国物語～姫の誕生日　6プミめ

ロウ姫はピキ姫の一番上のお姉さんの娘です
エイ国王、ラウ王妃にとっては孫娘になります
それはそれはロウ姫のことをかわいがっていました
ロウ姫はピキ姫に言われた通り、予定より早めにアドベン国にやってきました
エイ国王、ラウ王妃は大歓迎してくれました
「おう、ロウロウちゃんよくきたね」
「また大きくなって、かわいいねー　さすが私の孫だわ」
「じいじ、ばあば、会いたかったアルよ　ちょっとおなかすいたアル　ﾑｷﾞｭｰ」
今やいろんな意味で大きくなってるロウ姫です
「あなたの好きなカボチャクッキーを用意しておいたわよ　お食べなさい」
「おたべなしゃいでしゅ　ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ」
「あい、プルおばちゃん」
「ロウロウちゃん、いらっしゃい」
「ゆっくりしていってな」
「プミ姫のお誕生日会の出し物の練習をするんだって？」
ピキ姫の3人のお姉さん、オウ姫、トウ姫、ユイ姫も歓迎してくれました
「うん、ピキおばちゃんと練習するアルよ　ガンダーラで古くから伝わる伝統芸でえーと、なんだっけ　ににんなんとかって　とにかく特訓すると言われたアル」
「ににん？　忍者のコスプレでもするんかいな」
「なんか気合はいっとるな」
「私も練習しなきゃ　ﾋﾟｺﾝ」
「そうかもしれないアル　あ、ピキおばちゃん来たアルよー　ﾑｷﾞｭｰ」
「うんうん（く、くるひぃ）ロウロウ、練習はじめるでー　あ、練習中は集中したいからねえね達は立ち入り禁止やで」
「わかったわ、当日までのナイショということやね」
「うん、そうや」
そう言ってピキ姫は自分の部屋にロウ姫を入れると「練習中　立ち入り禁止」とドアに貼り紙をしました
「これでよしと　さあ練習はじめるで」
「まって、かぼちゃクッキーまだ食べてないアル　ﾓｸﾞﾓｸﾞ」
「あー、もってはいり　うちも食べるねん」

ﾊﾟﾀﾝ
こうしてまだみんなには内緒の二人羽織の特訓が始まったのでした

ウエーノ王国物語～姫の誕生日　７プミめ

プミ姫の誕生日パーティーで披露する二人羽織の特訓が始まりましたが、ここでピキ姫は重大なミスに気が付きました
そう、ロウ姫が大きすぎてピキ姫が後ろになると手が届かないのです
「う、ううー、手が、手が届かへん　ﾊｧﾊｧｾﾞｪｾﾞｾﾞｾﾞｪ」
でも前にはなりたくないピキ姫です
「ピキおばちゃんどうしたアルか？　ｶﾎﾞﾁｬｸｯｷｰﾓｸﾞﾓｸﾞ」
「な、なんでもあらへん　ちょっとストレッチしよか」
「はいアル」
まずは前屈から
「いっちにーさんしー　こうアルか」
「うん、そう　次は腕を後ろに回してみて」
「はいアル　ぐるぐるー」
「なんや　思ったより体柔らかいな　これなら大丈夫かもしれへんな　そうだ、ちょっとトレーニングルームに行ってみるか」
「はいアル　運動は得意アルよ　この前は木登りしたアルよ」
「枝、よく耐えたな ﾎﾞｿｯ」

2人はトレーニングルームに行きました
トレーニングルームではプル姫が新しい遊具に登る練習をしていて、ラウ王妃が見守っていました
「よいちょ、よいちょ」
「プルおばちゃん　頑張るアルよ」
「あら、ちょうどよかった　ドレスが届いたみたいなんでちょっと見てくるわ　プルのことお願いね」
そう言ってラウ王妃は部屋を後にしました
「大丈夫、みとくで」
「プルおばちゃん　私も登っていいアルか？」
「いいでしゅよ　ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ」
「大丈夫かいな」

ﾐｼﾐｼﾐｼｯ
ロウ姫が登る度にミシミシいってます
「懐かしいアルね　私もこうやって登る練習をしたアルよ」
「あー、もうええから降りておいで」
「あい、ピキおばちゃん」ﾐｼｯ
「ピキねえ、わたちはなんきんたましゅだれのれんしゅうでしゅか？」
「せやったね　じゃあ練習しようか」
「私も練習するアルか？」
「うん、あんたも覚えとき」
3人はトレーニングルームで南京玉すだれの練習をしました

ｻﾃﾊﾅﾝｷﾝﾀﾏｽﾀﾞﾚｰ♪

「ラウちゃん、みてみ　3人で南京玉すだれの練習をしとるで」
「かわいいわね　今回の出し物は南京玉すだれなんやね」
エイ国王とラウ王妃はそんな3人の様子を微笑ましく眺めていました

ウエーノ王国物語～姫の誕生日 8プミめ

トレーニングルームで南京玉すだれの練習を続けるロウ姫、ピキ姫、プル姫の3人
汗をかくほど真剣に練習に励んでいます
「ふぅ、のどがかわいたアル」
「ちょっと休憩しよか」
「あい　ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ」

そこにエイ国王とラウ王妃がやってきました
「プリン作ったからお食べなさい ジュースも持ってきたわよ」
「みんながんばっとるなー　さすが自慢も娘と孫や　パーティー当日が楽しみや　ｶﾞﾊﾊﾊ」
「わあ、プリン ありがとうアル」
「おおきに」
「おおきにでしゅ　ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ」
ロウ姫が床にペタンと座ってプリンを食べ始めました すると、ロウ姫の横にプル姫がプリンを持ってきて同じポーズで座りました
「プリンおいしいアルね　ﾓｸﾞﾓｸﾞ」
「おいちいでしゅ」
食べる仕草も似ています
「・・・！　ﾋﾟｷｰﾝ　これや」
ピキ姫は何か思いついたようです
「プル子、ロウロウの前にすわってみ」
「こうでしゅか？」
プル姫はロウ姫の前に座りました
「そうや　うん、これやな」
「なんや、フォーメーションか？」
エイ国王が尋ねます
「う、うん　どうすれば舞台映えするかなと思って」
「そか　がんばりや、ピキ監督さん」
「がんばるんやで　あ、そうそうパーティーの衣装が届いたからあなた達も後で試着にいらっしゃい」
「はあい」
3人の姫は声を揃えて返事をしました
エイ国王とラウ王妃はトレーニングルームを出ました
「ふぅ、危なかった　でもこれならいけそうやな」
「どうしたアルか？」
「いけるんでしゅか？　ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ」
「うん、南京玉すだれともうひとつの方や　こっちはサプライズやからみんなには内緒で練習やで　ﾆﾁｬｱ」
「はいアル」
「あい　ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ」
3人はもう一つの出し物の練習もしていたのでした

ウエーノ王国物語～姫の誕生日　９プミめ

そしてプミ姫の誕生日当日
早朝から王宮内では準備で大忙しです
「ふわぁ～おはようございましゅでしゅ」
「おはよう、お姫様　お誕生日おめでとう」
「お誕生日おめでとう　まだ寝癖がついてるわよ　ｳﾌﾌ」
「ありがとシャンでしゅ ｸｼｭｸｼｭ」
「今日は午後からパーティーだからちゃんとおめかしするのよ」
「何度も着替えるのめんどくしゃいでしゅ　ﾌﾟｩ」
「タン女王様が送ってくださったドレスもあるじゃない？　ｳﾌﾌ」
「わあい、それなら着ましゅ」
「わたしもドレス楽しみだわ（裏声）」
「王様、何かおっしゃいました？　ﾊﾟﾝ4ﾏｲﾒﾓｸﾞﾓｸﾞ」
「あ、いや何でもないよ　ｸｼｸｼ」
リー国王もタン女王に仕立ててもらったドレスが楽しみなのでした
お披露目するのはいつがいいか、タイミングを考えていました
「さあ、朝ごはんすんだらプミはお勉強よ」
「えー？お誕生日なのに？」
「お勉強は毎日するものなの　ﾊﾞｷﾑｼｬ」
「ふぁい」
「ちゃんとお返事なさい」
「あいっ　シンゴジラ怒らせるとこわいでしゅからね　ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ」
「何か言った？　ｷﾞﾛｯ」
「な、なんでもないでしゅ」
「ちゃんとお勉強したらご褒美はバースデーケーキだよ」
リー国王も言いました
「あいっ　お勉強がんりましゅ　ﾌﾟﾐｰ」

朝食を済ませたプミ姫は自分の部屋から勉強道具をもって出ると、勉強部屋に向かいました
大広間の舞台は出来上がり、幕の取り付け作業をしていました
「ピキしゃんまたあれをやってくれるかちら　楽しみでしゅ　ﾌﾟﾌﾟｯ」
「舞台でウォーキング、楽しみだわ(裏声)」
リー国王もワクワクしています
シン王妃は自分の部屋で今日着るドレスを選んでいました
「タンタンさんが作ってくれたドレスは夜の部で着るとして、昼は何にしようかしら」

トゥルルル♪
その時、シン王妃の携帯が鳴りました
「はい、もしもし　あらお久しぶり　聞いたわよ、良かったわね　今回は残念だけど仕方ないわね」
相手は王妃と親しい間柄のようです
「ええ、ええ…　ええっ？　何ですって？」

ウエーノ王国物語～姫の誕生日　１０プミめ

シン王妃の電話の相手は妹のファン王妃からでした
ファン王妃はおフランス国の王妃です
「姉さん、大変なの　坊やが…坊やが　そちらに向かうって一人で行ってしまった」
「そうなの　ファンファン、落ち着いて」
「今年は私がそちらに行けなくなったから、リモートでお祝いしましょうと言ったのよ　でも、僕はもう大人だし一人で行けるからって今朝起きたら置手紙が…どうしよう」
「大丈夫よ　モジャは男の子だからちゃんとこちらに着くわよ　着いたら知らせるから落ち着いて　ﾊﾞｷﾑｼｬ」
「ええ」
「大丈夫、あの子ならちゃんと着くわよ」
「ありがとう」
「あまり心配しすぎてもお腹の子にさわるわ　どーんと構えましょう　ｳﾌﾌ」
「姉さんは昔から物事に動じないところがあったわね」
「こう見えても繊細なところはあるのよ　ｳﾌﾌ」
「姉さんの声を聞いて安心したわ　着いたら連絡ちょうだいね」
「もちろんよ　じゃあまたね　ﾋﾟｯ」
ファン王妃に落ち着くようになだめたシン王妃でしたが、やはり心配でした
宮殿の周りには広い森があり、迷子になる可能性があるからです
「国王にモジャの話をするとちょっと不機嫌になるし、どうしたらいいかしら　ﾊﾞｷｯ　そうだ」
シン王妃はあるところに電話をかけました
「もしもし、私だけど」
「あ、馬騎武者姐さん」
「森で変わったことはない？」
「へい、今のところ大丈夫です　ｸﾏｰ」
「おフランス国のファン王妃から連絡があって、モジャ王子がこちらに向かってるらしいわ　森で迷子になってる可能性もあるから注意して」
「わかりやした　モジャ王子様をお見掛けしたらお城まで誘導します　ｸﾏｰ」
「お願いね　ﾊﾞｷﾑｼｬ」
電話の相手は森の熊たちでした
熊たちはシン王妃の裏の顔、馬騎武者の部下です
シン王妃は荒くれ者の熊たちをてなづけて部下にしていたのでした　時々一人で森に行くリー国王をそっと見守ったり、怪しい者を捕えるのが森の熊たちの仕事です
「これで一安心だわ　さてと、ドレスの試着を　あ、あら？ファスナーが半分しか上がらないわ　おかしいわね、タンタンさんと同じ体型のはずなんだけど　ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ」
自分の大きくなった体型ではなく、ドレスのせいにしようとするシン王妃の葛藤は続くのでした

ウエーノ王国物語～姫の誕生日　１１プミめ

アドベン王国一家は夜明け前にお城を出発しました
エイ国王とラウ国王、姫たちとそれぞれ専用のバスで移動中です
他にもドレスや小物を積んだ専用のトレーラーなどもあり、ちょっとした大移動になってました
バスは特別車両で、長旅でも疲れないようにゆったりとした作りになっています
「ふう、やっぱり荷物がたくさんやな」
「仕方ないですわ、王様　これでもドレスは絞ったつもりですわよ」
「そうやな　プミちゃんおおきゅうなったろうな」
「ええ、楽しみですわ」

その頃、姫たちが乗ってるバスの中ではみんな思い思いに過ごしていました
「結ねえ、何みとるん？」
「夕べの岸くんのドラマよ　準備しながら見てたからもう一度見返すの　ﾎﾟｯ」
「お医者さんのドラマやね」
「うん」
「ピキおばちゃん、衣装はこれアルか？」
「うん、それやねん」
「この大きな羽織みたいなのはなにアルか？」
「ｼｰｯ　それは内緒で練習したあれの時に使う衣装や」
「そうアルか　ﾔﾂﾊｼﾊﾟﾘﾎﾟﾘ」
「向こうで楽屋を用意してくれてるらしいから、着いたらまた練習するで」
「あいっ　ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ」
「うちはこのドレスだっけ」
「うん、それ　のどを乾燥させないように気をつけなきゃ」

バスは時々、休憩のためサービスエリアや道の駅に寄ってます
「ソフトクリーム食べたいアル　あ、あべかわもちも食べたいアル」
「あんたこれまでに赤福、生八ツ橋、ういろうとか色々食べてるやん ほんと食べることが好きやなー」
「かき氷おいしそうでしゅ　ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ」
「いちご味だと口の周りが真っ赤になるでー　ﾋﾟｷｰ」
「あそこに試食があるアル 行くアル」 ﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ
「全部食べちゃあかんでー」
なんでも食べたがるロウ姫の世話を焼くピキ姫でした