※小雅視点
「母ちゃん、ここで待ってるからね」
「うん!行ってきます!」
さっき私がこけちゃった辺りで、母ちゃんが待ってくれている。今度は走らないで、魔法のバッグを買いに行く。
こないだはシャン子ちゃんと一緒だったけど、一人でバッグ屋さんへ入るのは初めて。ちょっぴり緊張する。
「あ!こないだのお姉さん!こんにちは、あのバッグまだありますか?」
「いらっしゃいませ可愛いお客様♪こっそり取り置きしておきました、ウフフ内緒ですよ」
お姉さんが、お店の奥からあのバッグを持って来てくれた。魔法がかかっているしるしの、赤い値札が付いている。
「お姉さん、このバッグ、私に本当に似合いますか?」
「はい、本当にお似合いですよ♪もう少し大人になったら、もっともっと似合いますよ
…ところでお客様。私からセールをご案内しておいて恐縮ですが、半額とは言え、可愛いお客様にはお高い物です
このバッグをお買い求めになる事、お母様はご存知ですか?」
「あ!はい!近くで待ってくれています」
「良かった♪じゃあお包みしますね」
ピカピカのバッグは、このお姉さんにもとっても似合ってる。
私ももう少し大人になったら、もっともっと似合うんだって。
お姉さんが心配するほど、今の私には高いバッグなんだって。
母ちゃんみたいにしまっておいて、大人になってから使う…?
あっ!ひらめいた!
「あのっ!お姉さん!」
「どうしました?」
「あのっ!このバッグ、プレゼントにしてください!」
バッグを嬉しそうに抱えて出てくる小雅を想像しながら、店先を眺めること数分。ちらりと黒い耳が見えたと思ったら。
小雅は新しいバッグを持たずに、お店から出てきた。それどころか、店員さんらしき女性に手をひかれている。
こちらへと近づいてくる二人。小雅の笑顔の様子から、お金が足りなかったという事ではないらしいけれど…。
目の前まで来て、店員さんは私に会釈した後、小雅に紙袋を手渡した。小雅は店員さんに大きく頷いて、私と向き合った。
「母ちゃん!ちょっと早いけど、これ、母の日のプレゼント!」
「…えっ?えっ?どういう事なの」
「シャン子ちゃんがね、このバッグ、小雅に似合うって。でもお店のお姉さんがね、小雅が大人になったら、もっと似合うって」
店員さんが、ウフフと笑った。
「だからね、小雅は母ちゃん似だから、母ちゃんに似合うって思ったの!母ちゃんは大人だから!」
「待ちなさい小雅、あのお金は、あんたが本当に欲しい物を買いなさいって…」
「小雅、母ちゃんに似合うって思って、プレゼントしたくなったの!それに、それにね、えっとね」
小雅は興奮気味で、次の言葉がなかなか出てこない。店員さんが再びウフフと笑って、小雅をフォローしてくれた。
「このバッグは自分には早いんだって、気づいたんだそうです。大人になってから、自分のためにバッグを買うんですって。」
「うん!だから母ちゃん!」
紙袋を捧げ持つ小雅の腕が、バッグの重みのせいか震え始めた。私も震えを抑えられない腕を伸ばして、紙袋ごと小雅を抱きしめた。
「ありがとう…ありがとうね小雅…」
今度は、私が涙を止められなかった。
バッグ売場を後にして、私と小雅は再び休憩スペースへ立ち寄った。私が鼻をかみたかったからだ。
「あのね、母ちゃん」
「なあに?」
「やっぱり母ちゃんって、すごいなって思ったよ。小雅が自転車を欲しかったって知ってたんだね」
「え?」
「シャン子ちゃんと同じ自転車、欲しかったけど、小雅もう大きいから、ずっとは乗れないから」
「小雅…」
「だから、いらないやって思ったのに。母ちゃん知ってたんだね」
私は一気に鼻をかんで立ち上がった。
「小雅、行くよ!」
「どこに?地下のうどん屋さん?」
「ううん、自転車屋さん!」
前半ここまでです。長々すみません
ありがとうございます!
母子愛に朝から涙
乙ありーりー!
凄いわ!本当に泣けてきた!w
小雅視点の話もあって、細かい設定もよく出来てて、感動したよ!
朝から号泣しました
ぜんぜん下手じゃないですよ!
毎回続きが楽しみになります
ありがとう!
前半ありがとう!
可愛すぎる小雅親子から目が離せん
小雅いじらしい
後半も楽しみです!
みんな可愛いなあ、読めば読むほど登場人物みんな好きになる
5時間www
ポトンって音聞いて、何故か小雅母を想像してしまった
今頃小雅はスヤスヤ寝てて、母ちゃんが新聞配達してるんだなぁと
小雅ママが夜明け前に雪の中をバイクで新聞配達してるコラがあったよね、ニット帽姿で
あれは泣けた
小雅母子物語大好きだからこれからも楽しみにしてる
一生懸命な母ちゃんと小雅が可愛くて癒される
>>551
泣けるのに笑えたw
コラ職人さん最高
わたしもすき!
今日は昨日のつづきないのかな?
慎ましい生活だけど、前向きな小雅ママを応援してます!
登場人物みな可愛い