文豪缶詰プラン　御徒町力男編　その６-2020/03/26(木)

～文豪缶詰プラン　御徒町力男編　その６

大女将の洞察力はさすがである
「こちらの旅館に来たのは初めてなのですが、私が映画監督だとどうして分かったのですか？」
「ｳﾌﾌ、実はね　ポスターをいただきましたのよ」
ポスター？　もしかして…
「プミ子、ピキ助、ポスター持ってきて頂戴」
「あいっ」
「がってんでぃ」
ﾄﾞﾄﾞﾄﾞ
二人は勢いよく部屋を出て行き、ポスターを持ってきた
「これでしゅ」
それは「竹取物語」のポスターだった
満月をバックに満面の笑みを浮かべている主演女優が写っていた
「この作品の監督さんですよね」
「はい　でも、撮影はこれからでポスターはまだ一般には出回ってないはずですが」
「ｳﾌﾌ、白浜組のプロデューサーさんが持ってきてくださったのよ　白浜組さんはこちらをよくご利用してくださってますのよ」
白浜組のプロデューサーといえば、永明ニキか
「ああ、お知り合いでしたか　今回の映画の監督に推薦してくれたは永明プロデューサーなんです」
「永明さんのご指名なら間違いないわね　ｳﾌﾌ」
「いえ、それほどでも」
お世辞だとわかっているが嬉しいものである
永明ニキは敏腕プロデューサーで、白浜組のメンバーである
白浜組は割と硬派な作風がだが、ヒット作も多い
「竹取物語」は制作が決まった時にダメもとで大物女優の「上野真子（うえのしんこ）」に主役を打診をしたら二つ返事でＯＫしてくれた
そしてあっという間にポスターができた
ヒットさせなければというプレッシャーとの戦いでもある
「この、上野真子さんの表情もいいわね　さすが大女優だわ　ｳﾌﾌ」
「ビッグスターやで」
「おなかがでしゅか？」
「ﾋﾟｷｰ（それいうたらあかん）」
上野真子の満面の笑みは、見るものに圧倒的な強さとほっこり感を与えることで有名である